良かれと思って?会話泥棒になってしまうNGな聞き方と、相手に寄り添う相槌のコツ
相手の話を遮ってはいませんか?無意識の「会話泥棒」に要注意
職場やプライベートで、誰かと話しているときに「なんとなく会話が盛り上がらない」「相手が急に口を閉ざしてしまった」と感じたことはありませんか。もしかしたら、その原因は「話し方」だけでなく「聞き方」にあるのかもしれません。
特に、良かれと思ってついやってしまいがちなのが、相手の話を途中で遮って自分の意見や経験を話してしまう「会話泥棒」です。これは、相手に「聞いてもらえていない」「自分の話に興味がない」と感じさせてしまい、結果として信頼関係を損ねる原因となる可能性があります。
今回は、この無意識の「会話泥棒」を避けるためのNGな聞き方とその理由を深掘りし、相手に心を開いてもらい、より良い人間関係を築くための「聞き方」と「相槌」のコツをご紹介します。
あなたもやっていない?「会話泥棒」になってしまうNGな聞き方
まず、具体的なNG例を通して、どのような聞き方が相手に不快感を与えたり、会話を阻害したりするのかを確認しましょう。
NG例1:相手の話が終わる前に「私も〜」と被せて話す
相手がまだ話している途中で、自分の似たような経験や意見を話し始めてしまうケースです。
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具体的な会話例
- 相手:「先日、〇〇のプロジェクトで少し苦戦しまして、特に資料作成に時間がかかってしまって…」
- あなた(NG):「あ、分かります!私も以前、同じようなことがあったんですよ。その時はですね…」
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ダメな理由
- 相手は「自分の話を最後まで聞いてもらえなかった」と感じ、話す意欲を失ってしまいます。
- 共感しているつもりでも、実際には相手の話を「奪って」しまっている状態です。
- 相手は「自分の課題を解決したい」のではなく、「まずは話を聞いてほしい」と思っていることが多いでしょう。
NG例2:相手の言葉尻を捉えて、質問攻めや結論の催促をする
相手が感情や状況を説明している段階で、本質的でない細部の質問をしたり、すぐに結論を急かしたりする聞き方です。
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具体的な会話例
- 相手:「最近、顧客との打ち合わせで、こちらの意図がうまく伝わらないことが続いていて、どうしたものかと悩んでいます…」
- あなた(NG):「具体的に、どの顧客の話ですか?いつの打ち合わせですか?で、結局どうしたいんですか?」
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ダメな理由
- 相手は尋問されているような気分になり、話しづらくなります。
- 特に悩みや困り事を話している場合、感情の整理を遮られ、心理的な負担を与えてしまいます。
- 相手が話したいのは、事実だけでなく、その背景にある感情や考えである可能性があります。
NG例3:共感のない、形だけの相槌を打つ
相手の話に対して、適当なタイミングで「ふーん」「はいはい」といった短い相槌を繰り返したり、全く表情を変えずに聞いたりするケースです。
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具体的な会話例
- 相手:「この間の企画、本当に大変で、徹夜続きでようやく間に合わせたんです」
- あなた(NG):(PC画面を見ながら)「ふーん」「はいはい」
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ダメな理由
- 相手は「ちゃんと話を聞いてもらえていない」「適当に扱われている」と感じ、不信感を抱く可能性があります。
- 特に、営業職においては顧客との信頼関係構築に致命的な影響を与えかねません。
- 形だけの相槌は、相手の承認欲求を満たせず、コミュニケーションの質を低下させます。
相手に寄り添う聞き方と相槌のコツ
では、どのようにすれば相手に「この人に話を聞いてもらいたい」「信頼できる」と感じてもらえるのでしょうか。具体的な改善策と良い例を見ていきましょう。
1. 相手の話を「最後まで」聞くことを徹底する
最も基本的なことですが、相手が話し終えるまで口を挟まず、耳を傾ける姿勢が重要です。途中で意見や考えが浮かんだとしても、一旦飲み込み、相手の言葉に集中しましょう。
- 意識するポイント
- 話の途中で相手の言葉を遮らない。
- 相手の表情や声のトーンにも注目する。
- 沈黙を恐れず、相手が次の言葉を探している時間を尊重する。
2. 「傾聴」の姿勢で相手の言葉を受け止める
傾聴とは、単に耳で聞くだけでなく、相手の言葉の背景にある感情や意図まで汲み取ろうとする姿勢のことです。
- 効果的な傾聴のテクニック
- バックトラッキング(オウム返し): 相手の言葉やフレーズを繰り返すことで、「聞いていますよ」というサインを送ります。
- NG例:「資料作成に時間がかかってしまって…」
- OK例:「資料作成に時間がかかってしまったのですね。」
- 要約: 相手の話のポイントをまとめて伝えることで、理解度を確認し、さらに相手に話す機会を与えます。
- OK例:「つまり、〇〇のプロジェクトで資料作成に苦戦し、その解決策を考えていらっしゃるのですね。」
- 感情の代弁: 相手の感情を言葉にして伝えることで、共感を示します。
- OK例:「それは大変でしたね」「お辛かったでしょう」
- バックトラッキング(オウム返し): 相手の言葉やフレーズを繰り返すことで、「聞いていますよ」というサインを送ります。
3. 共感を込めた「質のある相槌」を意識する
相槌は、相手が話しやすい雰囲気を作るための重要な要素です。単なる返事ではなく、言葉と非言語(表情や視線)を組み合わせて、積極的に聞いていることを伝えましょう。
- 良い相槌の例
- 共感を示す:「なるほど」「そうなんですね」「分かります」
- 相手の意見や感情を受け止める言葉です。
- 促す:「それで?」「もう少し詳しく聞かせてもらえますか?」
- 相手が話を続けることを促し、興味があることを伝えます。
- 肯定を示す:「おっしゃる通りです」「確かにそうですね」
- 相手の意見に賛同する場合に有効です。
- 表情と視線: 相手の目を見て、頷き、適度な笑顔を交えることで、より温かいコミュニケーションが生まれます。
- 共感を示す:「なるほど」「そうなんですね」「分かります」
日常で実践できるアドバイス
これらの「聞き方」や「相槌」のコツは、特別な会議や商談だけでなく、日々の雑談から意識して実践することが重要です。
- まずは「話さない」練習から始める: 相手が話し始めたら、意識的に口を閉じて、相手の言葉の終わりを待つ習慣をつけましょう。
- 相槌のバリエーションを増やす: 「はい」だけでなく、「なるほど」「そうなんですね」「分かります」といった共感を示す言葉を意識的に使ってみてください。
- 相手の表情と声のトーンを観察する: 言葉だけでなく、相手の非言語情報からも感情を読み取ろうとすることで、より深い理解に繋がります。
- オープンな質問を心がける: 「はい/いいえ」で答えられるクローズドな質問だけでなく、「どのように感じましたか?」「具体的に、どのような点が課題だとお考えですか?」など、相手が自由に話せるオープンな質問を取り入れてみましょう。
まとめ
コミュニケーションは、話し方と聞き方の両輪で成り立っています。特に聞き方は、相手に安心感を与え、信頼関係を築く上で欠かせないスキルです。
無意識のうちに「会話泥棒」になってしまっていないか、ご自身の聞き方を振り返ってみる良い機会かもしれません。今回ご紹介した「最後まで聞く」「傾聴する」「質の良い相槌を打つ」という3つのポイントを意識して、日々のコミュニケーションをより豊かで実りあるものに変えていきましょう。相手に寄り添う姿勢は、きっとあなたのコミュニケーション能力を飛躍的に向上させるはずです。